飼育と採集の知恵袋 ~2009年度~

カブクワ飼育と採集について私自身が覚えた事、見つけた方法などの中から役に立つ(事があるかも知れない)ものを紹介してみます。 

尚、ここに書かれた方法等はあくまでも<事例>でありますので、  

その効果や安全性を保障するものではありません。実践されるに当たっては、                              ご自分の自己責任にてお願い致します。

◆悶え苦しむクワガタ中毒者の味噌蔵 ルリ、ツヤハダ、マダラクワガタ採集記◆

 

以前から材割採集の教育実習をお願いしていた八戸市在住の『材割採集のプロ』であるカミキリ虫専門のY氏と予定が合い、5月15日午前5時に××温泉前を集合場所と決め、材割の教えを乞うこととなった。 

・・・が、前日店に置いてあるデジカメのバッテリーを充電するのを忘れてしまい充電の為午前2時半起床となった。

いつも合同で採集している『日昆』メンバーは若者にとって拷問と言える早朝採集の為あえなくリタイヤ(無理しなくていいよって言ったらちゃんと無理しなかった)。単独で待ち合わせ場所に向かう。 

自宅を出た時気温は8度だったが、標高があがるに連れてどんどん下がり、現場付近では2度まで下がっていた。

 

朝のご来光を拝みながら現場に向かう。

待ち合わせ場所でY氏と合流。 

今日はルリ採集をメインとしながらも持ち前のあつかましさで、ツヤハダとマダラクワガタ材の見立てなどもお願い。身支度を整えるのだが、さすがにY氏の格好は決まっている!簡素にして必要充分な装備といい、小学生の頃から材採集をしていると言うのが又すごいんですが、道具が使い込まれてましたな。

さて、ポイントに入る訳ですがY氏の歩くのの早いこと!材を見てチェックし終わるまでがまた早い! 発生木の樹種の知識も豊富で、これは何の木の立ち枯れでこの状態だと何々の幼虫が入る等、説明にも淀みがない。 

二つ目のポイントに入ること数分、Y氏が地上から60センチほどの高さで折れて残っていた立ち枯れを削り始めてから数分。 

 

『出ました!ツヤハダです』の声。 

見ると立ち枯れ上部は少し赤枯れだが、下部はどう見ても白腐れの材。 

Y氏もこの材にツヤハダが入っているとは思わなかったとのこと。

『どうぞつまんでください』の声に初めてみる生きたツヤハダとご対面。同じ材を自分も削らせて貰うが、その後も出てくる出てくる!6~7頭確保したところでこの材を途中で残し、近くの材もチェックしたところ倒木にルリの産卵マークを発見。 

今度はこの材に取り掛かる。

ツヤハダクワガタ新成虫。

 

今度の材は産卵痕は沢山ついていたものの、なかなか成虫、幼虫の姿が見えず、少し雑になったところで連続して幼虫2匹を潰してしまう! 

ここでY氏から鉈の使い方についてレクチャーを受け、ようやくルリ新成虫♀をゲット!。

ルリクワガタ新成虫♀。

 

次の材を削り始めたらなんかカミキリ虫のような幼虫を発見。

Y氏に見てもらうと即座に、『これは××カミキリ(忘れた)の幼虫ですね、こんなしょぼい材に入っているのはたいていコイツなんですよ』とのこと。

さすがカミキリ屋!

××カミキリの幼虫(和名聞いたけど忘れた)

 

Y氏がツヤハダクワガタ(2齢?)を出したのを貰う。 

なんか生命線が短くなったような・・・ではなく幼虫を見てください。 

ツヤハダ幼虫の特徴であるおしりの『ベンツマーク』を見せたかったのですが私のデジカメでは撮影不能の為サイズが分かるように手のひらに乗せてみました。

私の手相はどうでもよろしい!

 

この材には入ってなかったが、これがツヤハダの好む典型的な赤枯れ材とのこと。

『極上です!』(Y氏談)

極上赤枯れ材

 

Y氏『桂の木がセルロースを多く含んでまして、これに赤色腐朽菌が結びつくと赤枯れ材となり易くですね・・・』

氏の非常に分かりやすく為になる説明が続くが、頭の単純回路がショートしている我が電脳は貴重な助言を次々にディレートしていく・・・。 

 

採集は午後から店があるので11時までと告げていた為謹厳実直なY氏は時計を見ながら次々にポイントを変えて成果を出そうとしてくれる。

が・・・この頃から鉈を持つ右手の握力が少女のようになりつつあった。『もう残り時間があまりありませんね、×温泉の方に移動しましょう』ツヤハダは採ったが、ルリがあまり採れてなかったので実績のある場所への移動であったが、氏がここで材の上を徘徊しているコメツキ?を発見。

『コイツが出ているということはここのルリはもう脱出してますね、ここは見切って反対側のポイントに入りましょう』とのこと。

道路を挟んで反対側に向かう。(そこは私から見ると急勾配連続のポイント)ラストポイントをY氏はさながら猿のように勢いよく駆け上がって行く! ウヒッ~!

もう自分は材を叩くどころの話ではない、付いて行くのが精一杯、『あっ あっ 足がぁ~!!』つりそうになる・・・。やっとY氏が材を削っているところに追いつくと、既に氏はツヤハダを追加していた。

追加ツヤハダ  足がぁ~!

 

Y氏『これがマダラクワガタ幼虫の食痕です』。 

比較の為に指を当ててみる。残念ながらマダラは蛹室の中で死んでミイラ化したのを1匹発見したのみであとは見当たらず。

樹皮表面直下である。

マダラ幼虫食痕と天使の指

 

かなりデカイ、ブナの倒木に何かまぁるい穴が・・・。

Y氏の説明によると、おそらく貴重種である『ヨコヤマヒゲナガカミキリ』の脱出孔であろうとのこと。それも『もう孔が塞がってますし、状況からみると百年位前の脱出孔かも知れません』と・・・分かる人にはそこまで分かるものなのだな~と感心する。

百年程前の虫の生きた証がここに・・・。

 

今回大変お世話になったY氏の勇姿。

昨年十和田湖の街灯採集で知り合ったばかりなのに早朝からヒゲオヤジへの材割採集の教育実習にかけつけてくれた。あ~虫友っていいな~。

この都度は大変お世話になりました、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

Y氏とは夏にライトトラップ採集の約束をして別れたのだが、『ついでなんで、途中でトラップ掛けて、山菜も採って帰ります』だって・・・若いっていいな~。スゲー体力。

 

本日の反省: 

①デジカメのバッテリーは前日充電せよ 

②体力を強化せよ 

③忘れる前にメモをとれ! ・・・でした。

 

Y氏の材割りフォーム。個人情報保護のため顔は伏せておりますが、見た目もナイスな好青年です。

 

◆コバエ対策・アースノーマットの威力◆ H22.5.5

ショウジョウバエ以外のコバエには非常に有効!とされている液体式電気蚊採り器ですが、実際にどの程度効くのか詳細に語られている情報がなかったので、ホソアカやローゼン等の微妙に弱い種を飼育している当方としては怖くていまいち使う気になれなかったのですが、ビークワにギネスホルダーとして飼育記をよく執筆しているS氏も使用していると自身の記事に書いていたのを見て、今回導入してみることにしました。

以下その使用結果のレポートです。今後の参考にして下さい。

 

・今回使用の蚊取り線香は最も使用率が高いと目されるアース製薬社の液体式電気蚊取り器『アースノーマット』四畳半~8畳用タイプです。 

使用する部屋の間取りは八畳の造りですが一部階段部分が出っ張っているいびつな構造をしているため実際の広さは六畳強といったところです。 

・連中は昼行性なので、最初は安全性確認のため昼間の6時間だけの運転から開始しました。現在は安全性にほぼ影響はないと判断できましたのでつけっぱなしです。

・気になるその威力ですが、コバエの中でも最も小型のものが飼育ケース等から飛び出した場合は即効で死ぬようです。大型のコバエ(言い方がヘンですが・・・)は1~2日以内に駆逐される感じです(薬剤の影響が少ない物陰等に潜んでいた場合は多少生きていられる感じ)。

ショウジョウバエにはやはり効きません!元気に飛んでいやがる!残念!

要は、蚊の駆逐を目的として薬剤を配合しているので体重の重い奴は殺しきれないのだろうと解釈しました。壁に必死につかまっているが飛びたてなくなっているコバエや飛び方がヨロヨロとしているコバエを観察できました。

・ケース内に沸いているコバエに対してはどうかというと(コバシャの和紙、タイペスト紙、等を通過して効果があるか?ということ)これは殆ど効果が無い様です。相変わらず沸いてます!増殖してます! 

産卵セットの餌替え等で蓋を空ける時に薬剤を帯びた空気が流入する訳ですが、多少ヨロヨロさせることはできても死滅には至らない、つまり残留性も殆ど無いと言えるでしょう。

但し、飼育ケースから飼育ケースに伝染されてしまうことはほとんど無くなるわけです。むしろこの程度の方が安全性において安心して使用できると言えると思います。 

成虫をスリット式の蓋の飼育容器で飼育して、なおかつ新聞紙や防虫シート等を蓋とケース本体の間に挟まずに使用して飼育している場合については検証してません。短期間であれば大丈夫かも知れませんが、やめておいた方が無難だと思います。このような場合には蓋とケースの間に新聞紙か何かを挟んでおいたほうがよろしいかと思います。

・最後にここが肝心かも知れません!この電気蚊取り器は結論よく効きます。従って、いつの間にかあちこちにコバエの死骸が落ちます。溜まります。これを奥様、娘さんに見つかる前にきれいに掃除しておくことを強くお勧め致します。

 

◆昆虫採集のマナー◆ H22.3.27

人生も半ばを過ぎた頃に再び昆虫採集と飼育に目覚めた自分であるが、その再開時にカブト虫ポイントと採り方を教えてくれたのがTさんであった。

○×ポイントは青森市内では有名なカブト虫の採集ポイントで、そこに行けば居るから自分で果物トラップを仕掛けるか、誰かのトラップに付いた奴を採ってくればいいというものだった。

『他人の仕掛けたトラップに付いた奴を採っていいの?』と尋ねた私にT氏は『こればっかりは早い者勝ちだから、いいんです』と言った。

その場ではほう!と黙って聞いていたが、いい訳がない!。

他人の仕掛けに手を出しているところに仕掛けた当人が現れて、見つかったらどうなるか?あるいはどう思うか?を考えればすぐ分かることだ。紛争の種ですよね。

因みにT氏は変な人ではない。人柄が良くて誰からも好かれている人である。でもこんな間違った考えを持ってしまったのは、T氏も採集マナーを誰からも習わずに独学で覚えてしまったことに端を発していると思う。自分も飼育、採集共に独学で始めた人間でそのままショップまで開いてしまった。ショップを開くということは単に生体と用品を売るだけでなく、マナーの面においても初心者の人に指導できるようでなければいけない。師匠が必要だ!と切に思いました。      

その後H師匠と知り合い、色々と教えをいただけるようになりましたので、H師匠から伝えられたことを今度は私が後から来た人に伝えていけたらと思っています。

(因みに『H師匠』とは、私が尊敬の念を持って勝手に師匠と呼ばせていただいているだけで師匠にとって私は弟子でも何でもないまだまだ鼻タレの生き虫屋・・・というのが現在の正しい関係です)。 

その師匠から採集におけるマナーも色々と教えて頂いたのですが、その中から昆虫専門書にもあまり書かれていない『灯火回り採集』時のマナーを紹介しておきます。

嫌な思いや無用なトラブルを避ける為参考にしていただければと思います。

・灯火回りでの採集時に出会った人にはきちんと挨拶をすること。

・目的の虫がよく集まるポイントだからといって一箇所を長時間独占する『張り込み型』の採集はマナーに反する。次にそのポイントに入りたがっている人がいたら、自分は何時まででここから離れるから等告げて譲ること。

・次にポイントに入ろうと待機している人の足元に仮に目的の虫が落ちてきたとしても、その虫の権利は拾った人の物ではなく、先に入っていた人の物であるので渡すこと。(こうしなければ醜い虫の奪い合いになってしまう)

・民家のまわりで騒ぎながら採集したり、私有地及び侵入禁止場所に入り込んだりしないこと。

 

以上ですが、これはH師匠個人の考えから定めたものではなく、この世界のトップレベル採集者等の全国標準マナーであるとのことです。もちろんこれは法令ではなく、強制力はありませんが、こうしたことを無視した採集はトラブルを招きやすいし、それが元で最悪市町村の条例等で昆虫採集禁止になったりとかしないようにしたいものです。

昆虫採集は楽しい!いい大人でも夢中になってしまう魔力があります。だからこそ、いつまでも楽しい採集が出来るように最低限のマナー、モラルは必要であると思います。

 

◆第3回ルリ合同採集With日昆会長◆ H22.3.24

3月23日ルリクワガタの新成虫が見たいばかりに、親子ほども歳の離れたクワ友『日昆会長』を誘って性懲りもなく早春の山へまたまた突入して参りました。                       

前日まで冷え込んでいたので堅雪になっているかと思いきや膝までぬかる・・・やはりカンジキは必需品と再認識致しました。 

前回採集時より積雪は30センチ以上減少した模様で、沢筋や木の根元などに深い大穴が空き始めている。気温は0℃付近ながら春の訪れをひしひしと感じるのであります。 危険回避の為、ほぼ積雪が消えるまで暫くはこの採集も一休みとなりそう・・・           

会長と危険な場所を相互確認しながら、前回より東側のポイントを探索すること数十分。            

過去2回の経験で、見た目に産卵痕の付いている立ち枯れの見分け方が少しずつ分かってきた。直立している立ち枯れよりも何故か斜めに生えている木の方が確立が高いこと、そして1本の産卵痕の付いている立ち枯れのそばにほぼ確実に何本かの木に産卵していることなど・・・。

少し離れた所から有望そうな立ち枯れが見える。 

近寄ってみるとあったあった有りましたよ産卵痕が・・・。 

早速会長がこの木に取り付く。 ということはこの近くにあと1~2本はあるはず・・・と辺りを見回すと曲がりくねって斜めに生えてる色艶も申し分ないのがやはりある!自分はこちらを削ることにした。 ルリは木肌の直下にいることが多いため鉈を(H師匠曰く素人の削り方“エンピツ削り”で)カンナのように使って薄く削り取っていくのだが、会長のMy鉈は片歯の為喰いこんでしまうので使い難いようで今回はカッターを持参していた。 

自分はルリ用にと両歯の鉈を新調していたので思い通りの厚さに削れる。

やはり道具の選定は大事だ。

自分が選んだ立ち枯れは融けた雪の下から現れたもので湿り気を帯びている。 

 

慎重に・・・慎重に・・・削っていくと・・・。   おっ! 

 

出た~っ! いきなり蛹室の中に蠢く新成虫発見!勝利の雄叫びをあげていると会長が犬のような猛ダッシュで走り寄ってきた!                                              暫しふたりで感慨にひたり、撮影をする。

『お前に会いにきたんだぜ!』

ルリクワガタ 新成虫♂

更に削っていくと・・・3令幼虫とご対面!(ちょっとピンボケ) 

更にわくわくしながら削っていくもこの材はこれで終了だった・・・。

材採集のプロ八戸市の新進気鋭の『カミキリ虫屋』Y氏によると雪の上に出ている立ち枯れ上部は天敵のコメツキ幼虫に捕食され、産卵痕はあっても食痕自体もないものが多いと聞いたが、なるほどと思われた。

さて、時間もかなり経過したことだし次の新ポイント候補も下見しておきたいと、ここまで不調だった会長に移動を打診したら、

『イヤッまだ西側をチェックしてない!』と寒さでプルプルと凍えながらも燃えていた!

その気迫に押されて付き合うことにしたのだが、やはりこの子は『クワの申し子』だった。再度の探索開始後1本の立ち枯れにやたら執着していたので   『ついに出したな・・・』とは思っていたのだが、この日一番の“タコ採れ”の材を捜し当てていた・・・結局この材1本から♀新成虫1匹と初令~3令幼虫を数多く叩き出したのだった・・・。

採集終了後店に戻り、『まったりとした気分』で記念撮影!

ワシの採集した♂と会長の♀のツーショット写真を撮る、がこの両名がペアで愛の“酢”をつくることは多分ない!なぜならば、次回は前述八戸の『カミキリ虫屋』Y氏と合同採集を予定しているからです。(彼と一緒ならまだまだ取れる!と・・・) 

本日これを書いてたら、H師匠が来店『採れたか~?』と聞かれたので結果を報告したら『もっと道具や採り方を工夫、勉強した方がいいよ!』と諭されました。 頑張りま~す!。

 

◆ルリ採集リベンジ編 With日昆会長のみ◆ H22.3.18                          『日本の森の妖精ルリクワガタ』を見たい!標本は手に入れたので、次は生きて動く現物を拝みたい・・・と、思い立ってから数週間。 

日昆精鋭メンバーと共に前回3月4日に残雪深い山に突入するも、産卵痕のある材を見つけたのみで敢え無く敗退! 

前回日昆会は定期活動の一環程度のノリであったが、その後会長からは矢のような催促!

どうやら会長の本気モードにスイッチが入ったらしい・・・。

望むところよ! よし行こう!と即決。

しかし年度末は若者も忙しく、参加メンバーはヒゲオヤジ(俺)と会長のみとなる・・・。

携帯メールでやりとりして3月17日朝9時にいつもの待ち合わせ場所『ローソン』にて落ち合う。今回も会長の足元は『スノトレ』だった。

最近のお若い方は長グツの持ち合わせは無いみたい・・・。

さて肝心の天候だが前日までの陽気が去って雪模様。ローソン前で車の温度計を見るとー1℃だったがとりあえず行って・み・る事にした。

駒込川上流標高約700mの前回ポイント目指して走り出すが、気温がグングン下がって行く・・・。-5℃、-7℃。現場到着時にはー8℃になっていた。しかも絶好の吹雪!おそらく体感温度はー10℃以下かと・・・。

 

今回遠征に当たり、下知識を補充しようとネット検索していたら、ルリ欲しさに冬の山に入る奴は頭がおかしいと言う件を見つけたが、気にしない!

ルリの棲息条件に合った所は山の北側斜面ということだったが、当ポイントも北側斜面であり条件は合っている。前日夜から降り積もった雪で、前回とは裏腹に膝上まで雪にぬかる。

用意したカンジキを履いていざ突入! 先回残してきた産卵痕のある材目指して一直線に進む。

 

ポイントにたどり着き、早速材を見て回るが状態の良い材が中々見つからない。 

時間も無くなってきたし、会長の唇をみたら紫になっている・・・。そろそろ限界か?(俺は普通の人間じゃないから全然平気!)引き返しながら材をチェックすることにして歩いていたら、私の後方百メートルほどを歩いていた会長がなんか雄叫びを上げている。ついに野性が目覚めたか?と 

振り返るとウッキーッ!て『おサルさん』のようなポーズをした会長が(どうやらOKサインらしい) 野ウサギのように跳ね回りながら『出た~!』と叫んでいる。

さすがクワの申し子!唇が紫になっていても、ちっちゃいお目目が寒さで『・、・』みたいになってても集中力は全然落ちてない点は本当に感心する。

で、近寄ってみると会長が削った材からルリの初令幼虫が『コンニチハ!』している。(小さいとは思っていたが)ホントにちっちぇ~!

その後も会長絶好調でもう1本探り当て、計5匹を割り出して、(俺がその内の1匹をどっかに落とした、スマン!)4匹持ち帰ったのである。

帰る途中でオオクワでも入っていそうなウロのある材を発見!中から何かいそうな気配が・・・。『オラオラオラ~!』(ジョジョの不思議な冒険参照)っと鉈を入れたら中からブナの実やドングリが大量にゴロゴロと・・・。どうもリスかネズミの大事な食料庫を襲ってしまったらしい・・・。落としてしまったドングリなどを元に戻しながら『今日の俺は★だな・・・』と悟り帰宅することに・・・。

 

ここまでで得た教訓としてはやはりルリの好む材はグレーに朽ちた材だが、どこかまだ半分生きているような材であることと、太さは大人の二の腕から太股程度の材が多く、それより太い材にも産まないことは無いが、数は少ないと言う事だろうか。

調べたところでは倒木(完全に地面に倒れているのではなく、少し浮いているような材)にも好んで産むようだが、その材はまだ足の下2.5メートル下にある。   

こいつは春まで楽しめそうだな。

今回の報告はここまでですが、デジカメの調子も悪く、画像も少ないのでもっと詳しく見たい方は当ホームページリンク『日昆会長諸記』のUPをお待ち下さい。今回も期待を裏切らない冴えを見せてくれることと思います。

 

=本日の反省=

・アペックスを忘れるな!

・体力を強化せよ!

          以上

驚くべきはこの幼虫の耐寒性!この時の気温は約マイナス8℃と書きましたが、発見から会長の『男の玉手箱』ブロー容器に納められるまで十数分間元気にウニョウニョと動いてました!越冬の為体内の腐食物を全て排出した真っ白な体でです!

 

◆雑虫対策◆ H22.3.22追記

ここで言う雑虫とはやっかいな飼育の敵ダニー、小バエ(ショウジョウバエ、朽木バエ、きのこバエ)、トビムシ、線虫等を指します。これらの雑虫防御対策は先達諸氏があらゆる手を考案して攻防を繰り広げてきましたが、未だ完璧と言える対策法はありません。  

しかしながら、これらに対する知識の有ると無しでは大きな差がありますので、特に入門者の方にこういう方法もありますよ・・・と提示してあげたくてこれまで知り得た対策法を再度検証しながらまとめてみたいと思いたったものです。 ただ、このテーマが余りにも大きいので内容を少しずつ推敲しながら書き足していくことにします。 過度に期待せずお待ち下さい。

以前『ビー・クワ』でルカナかオオクワッチが読者のコバエ対策について質問を受け、対策は基本的にコバエを『出さない』、『入れない』を徹底するしかないといったようなことを答えておりました。  

まさしくその通りでありますが、ここではこの点を更に細分化して次のような観点から追って行きたいと思います。

 

(1)『雑虫を発生させない』                                               飼育用マットはその製造過程からどのメーカーのマットであれ100%雑虫が混入してないマットを作成することはほぼ不可能であります。無菌室並みの工場で高圧殺菌等で処理すれば相当の物は作れるでしょうが恐ろしく高額なマットになるでしょうし、そこまでしても袋に空気穴を空けている以上出荷後に侵入される可能性もあります。あるメーカーでは、マットを真空パックにして袋詰め後に酸欠させることで駆除する方法をとっているところもあるようですが、これにしろ完全に死滅した頃合を見計らって出荷するのも難儀なことでしょうし、日持ちしないこの方法では小売店でも扱いにくくなります。 雑虫が沸きにくいと定評のある商品はありますが、これも製作した季節やロットによっても増減があります。   

そこで今出来る最良の方法とは自分で使ってみて雑虫が沸きにくいと感触を得ている商品を更に出来るだけ簡易な方法で駆除して使用する以外ないのではないでしょうか。               

ここではその色々な駆除方法を探ってみます。

=加熱処理法=                                                      ・産卵木の加熱処理  

ジップロック等の袋に水と産卵木を入れて電子レンジで加熱する、鍋に湯を沸かし産卵木を入れて加熱殺菌処理する。産卵木に加水する時間を大幅に短縮できるので一石二鳥。産卵成績にはほぼ影響なし。                                   ・マットの加熱処理  

A)黒いビニール製のゴミ袋にマットを入れて天気の良い日に太陽光で加熱殺菌処理する方法。一度に何十リットルも処理するのでなければ1~2日程度で効果は期待できると思います。但し弱点として冬季には向かないことと、有用なバクテリアも死滅すると思われますので、高価なバクテリア系マットには使えません。又、マットに含まれている栄養分の一部を破壊してしまう可能性もあります。

B)太陽光に当てて加熱及び乾燥にて殺菌処理する方法。ビニールシートや衣装ケース等に薄く広げて完全乾燥させることで殺菌。 

メリットとして栄養価の低下が少なく、バクテリアも減少はするでしょうが死滅まで至らないことかと・・・。又水分を含んだ通常の状態のマットは約3ヶ月程度で劣化してしまいますが、完全乾燥させることで半年以上長期保存可能になります。        

デメリットとしては、やはり冬季に向かないこと、天候に左右されること、手間ヒマがかかることです。  

=冷凍処理法=

・適当な袋にマットを入れて冷凍庫の中で凍らせて殺虫する方法です。24時間程度の冷凍で効果を期待できますが、より効果を得たいなら、24時間冷凍→常温にて解凍→再度24時間程度冷凍後解凍して使用するとかなりの効果を期待できます。注意点としては家庭の状況によっては奥様の許可を得る必要があるかと・・・。 実行できればこれが一番のお勧めです。

=紫外線灯殺菌法=

日昆会長から教わった手です。紫外線灯を約2日ほどマットに照射して殺菌するそうです。効果と手順は私は詳しくないので、興味のある方は彼のブログ《日昆会長諸記》を尋ねて聞いてみてください。

 

(2)『雑虫を出さない、侵入させない』         

この観点はいかにして飼育容器の中で発生してしまった雑虫を外に出さないか?と言う点から、飼育用品そのものとその現状での欠点と注意点を探ってみます。

 

・まずはケースそのものから行ってみますか・・・。 市販品で現在出さない、入れない構造で圧倒的支持を得ている代表格的商品がありますが、完成度はなるほど高いものの、やはり完璧ではありません。これらの共通の弱点はケース蓋の爪の部分で、ここに歪みが生じた場合隙間ができます。更にケースを積み重ねすることにより(特に産卵セットのように重くなったもの)あちこちに歪みが生じやすくなります。新品であっても最初からケースに歪みがある場合もあります。一度歪みが生じた飼育ケースはまず元には戻らないので、用途を変えた方がいいかもしれません。蓋にたくさんの小さな穴を空けたものもありますが、このタイプのチェックポイントは穴の大きさです。コバエで言えば1㎜径の穴だとコバエは経験上結構出入りします。0.8㎜で微妙。待ち針の太さが約0.5㎜で、これだとほぼコバエの出入りは阻止できますが、コナダニは通過します。(市販品で0.5㎜径の空気穴を空けた飼育ケースというのはないんじゃないかしら・・・?逆にコバエが出入りできる穴の大きさのケースは通気がよく蒸れにくいというメリットもありますが) ケース蓋がスリット状になっているものはそのままではフリーパス状態なのでビニールや紙製のメッシュシートを蓋と本体の間に挟みますが、注意点は成虫にしろ幼虫にしろシートまで届かない高さにマットや止まり木を調節することです。(いつの間にか穴を空けられます。)また成虫の場合飛べる種類でしたら高さをどう調整しても意味ありません。いずれやられます!   

プリンカップ使用の場合で穴を空ける場合は以上から待ち針で空けるのがベストと思います。空気の流通量が不安なら穴の数を多くして下さい。

 

・次はブロー容器やPET容器の弱点です。これらの容器は通気性を確保するために蓋に穴を空けてタイペスト紙を挟み込んだりタイペストシールを貼ったりして使用しますが、通気性を持たせるために極薄いので、成虫や幼虫の体が届く場合簡単に破られて穴を空けられてしまうということです。更にタイペストシールは物によってはシールの糊面の圧着性が弱かったり、糊面と紙の間が剥がれ易かったりするものもありますので商品そのものを吟味することをお勧め致します。次の意外な弱点はこれらの容器は蓋がスクリュー状のねじ切り式になっているのですが、この部分のひだとひだの間が雑虫が通過するに充分な隙間があったりします。ここをチェックするに見た目でよく分からなければ、予め蓋に空気穴が開いていたらガムテープなどを貼り、中に水を入れて逆さにしてみて下さい。僅かずつ水が出るならまだしも勢い良く水が漏れ出てくるようなら要注意ということになります。

(逆に雑虫はさておき、容器を積み重ねる必要がある場合に通気性を確保するならこの手の容器がいいと言う事になります、また通気性の確認にはこの方法が簡単です)。

・最後の手段的によく用いられるのがケースや容器を洗濯ネットで覆う、というものがありますがこれにも意外な弱点があります。ファスナーの閉め切った最後の部分です。ここに実は隙間があります。よってここを縛る、ガムテープを貼る、畳み込む、クリップ等で挟むなどで隙間を作らないことが大事です。因みにガムテープは短期的にはいいですが、長期的には剥がれやすくなるのであまりお勧めしません。

 

(3)『容器から出てしまった雑虫の駆除方法』

今回のテーマ中で一番“燃える”部分ですね(笑)。

色々な駆除方法を効果と経費面から追ってみます。

・掃除機による駆除。これははっきり言ってはまります!吸い込んだコバエが吸引口から出てくるのでは?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、吸い込まれた時点でかなりのダメージを受けるのかあまり出てきません。きのこバエ等は飛ぶのが遅いので慣れてくれば飛んでる奴も狙い撃ちできます(笑)。やっかいなのはショウジョウバエです。飛行能力が高いので部屋の温度が低いとき以外は掃除機では中々吸い込めません。コイツは別の手で捕獲駆除します。私の場合クワの餌交換が面倒臭くなって何もやる気が起きなくなった時はまずこのコバエ退治から始めると俄然やる気が出てきます!本日の捕獲目標100匹!とか定めると達成するまでやめられなくなるという個人的なデメリットもありますが・・・。     

 

・ショウジョウバエの捕獲法 

後述する粘着シートもありますが、数が少ないときは古典的“ハエ叩き”でしょう。目の細かいものを購入しておきますが、目の大きいものしかない時は“やや斜めに叩く”のがコツです!次はトラップですが、市販品はこれも後述するとして簡単なのがきのこバエ等よりショウジョウバエの方が餌に対する執着心が強いことを利用する方法です。ビニール袋に交換済みのゼリーを入れて袋の口をあけたまま暫くしずかに放って置きます。後に静かに近寄って袋の口を閉めてしまう・・・。とそれだけなんですが、驚くほど捕れます!使用済みゼリーから醸される発酵臭は強烈なのでこれを何回か繰り返すと大方は退治できます。全てのハエは発酵臭に敏感なので、自前で市販品のトラップのようなものを自作してもよいでしょう。中に入れる餌はウイスキー・紹興酒・醤油・ヨーグルト・カルピス・バナナやリンゴなどの果物の皮などがメジャーです。朽木バエやきのこバエにはマットや菌糸カスが使えますが、他により強力な臭いを出しているものがあると意外に入りません。

まだ試してませんが、朽木バエときのこバエは以前飼育部屋に灯油を持ち込んだら物凄い勢いで集まってきたことがありましたので工夫次第で使えるかもしれません。自作トラップを作る時は“真上に飛び上がることができない”という弱点を突いてやる仕掛けを考えればよいと思います。市販品の多くは捕獲した奴らを再び脱出させないためにこの構造になっているものが多いはずです。

・次は粘着シートです。設置場所が問題です。奴らにも集まりやすい場所があります。奴らにとって魅力的な臭いを出しているケースの傍とかは言うまでもありませんが、習性なんでしょうか朝日が昇る時と夕暮れ時は“窓”に集まりますので注意して観察してみてください。その人の飼育環境によって集まりやすい場所に仕掛けるのが基本でしょう。 飼育ケースの中に仕掛けるタイプの市販品もありますが(クワ達が貼り付かないような工夫された物)飼育頭数が少ない人はまだしも大量ブリードしている人には向かないかと思います(費用対効果の面で)。

・一番効果大と思われるのは、リキッドタイプの電気式蚊取り線香でしょう。きのこバエ、朽木バエには原爆的に効く!(但しショウジョウバエには効かない)しかもカブクワにはほぼ無害。飼育容器の外に出た奴にはこれが一番でしょう。 しかし使用に当たってはメーカーによる成分の強弱、非常に繊細な飼育種や繊細な時期を考えると、安全性を確認しながら使用時間などを徐々に伸ばす配慮は必要かと思います。

・電撃殺虫器 効果はそれなりあるとは思いますが、値段がそれなりで電気代もそれなりに喰うし前項までに挙げた方法で充分かと・・・。よく脱走される方はハエじゃなくて自分の愛虫が撃墜されないように更に加工しなければならないでしょうし、まあこれを使わなければならない方は別の理由がある場合でしょうね。

 

(4)『成虫及び幼虫に付着した雑虫の駆除方法』

ここで取り上げる雑虫とは主に『ダニ』になります。カブクワに付着するダニは一体何種類いるんでしょうか?私はダニの専門家じゃないのでよくは分かりませんが、自分的には非常に小さい『粉ダニ』とそれより大きいケシ粒ほどのものの2種類に分けています。大きい方はよく『肉食のダニ』という記述を目にするのですが、死亡した個体から体液が流れ出るとそれも餌として吸汁して繁殖するのでそう見えるだけで、肉食ではないと私は思っています。それから、ダニは何故カブクワに付着するのでしょうか?これも体液を吸う為という記述を目にしますが、少し疑問です。(生きている状態では)全く体液を吸うことはないとは言い切れませんが、あったとしても少なからずそれが直接原因で死に至らしめる程ではないと考えます。では何故付着するかというと、カブクワの体に付着してその体についた栄養分を舐め取りながら命や世代交代を維持し、やがて豊富な餌場に『連れて行って貰う為』ではないか?と考えます。 事例として私の飼育環境下では、成虫の管理マットが乾き気味の時と、こぼれたゼリーと排泄物でマットがビショビショに濡れている時を比較すると飼育ケース内に繁殖するダニの数は圧倒的にビショ濡れの方が多く沸き、逆に生体に付着するダニの数は乾燥気味の方が多い結果になっています。これは乾燥気味の方はダニにとって生活環境が悪いので、カブクワにくっついてよりよい環境に連れて行ってもらうための準備で、ビショ濡れの方はもはや生体にくっついている必要がないので、体から離れて行くのだろうと解釈しています。この説が正しいかどうかは別にして、これから述べる駆除方法はこのような観察を元に逆手にとって諸先輩方が編み出したものでしょう。 では、具体的駆除方法です。

 

=成虫の駆除方法=        

・市販の昆虫専用防ダニスプレーを噴霧する。 

薬品を染み込ませた防ダニマットで生体を2週間くらい管理して駆除する。

各メーカーによって効果に多少違いがあるでしょうが、スプレーはほぼ即効性がメリットです。デメリットとしてはそれなりの値段ですので、飼育頭数が多い人には経済的ではないと言えるでしょう。防ダニマットは遅効性ですが、スプレーよりは安価と言えるでしょう。但し使用に当たっては電子レンジ等で加熱するなどの手間がかかるものがあります。どちらも注意すべきは、メーカー説明では『カブクワには無害』とうたってますが、同時に衰弱した個体や寿命が近付いた個体には使用しないで下さいとも記していたりします。 飼育している種には非常に強い種と繊細で弱い種がいますので、なんでも鵜呑みにするのではなく、この点も考慮しながら使用すべきと思います。使用して即死ぬことはなくても、結局生体の寿命を縮めていることもあるからです。私も経験が少ない時期、成虫管理マット代を浮かそうとして、製材所からヒバの生木のオガクズとチップを買ってきて使用し、小型種とキクロ系統を全滅させてしまったことがありました。使い方でこれらの製品は非常に有効ではありますので、こんなことに気を配っておいて下さい。

・古典的方法ですが、柔らかい古歯ブラシなどを使って流水で洗い流す。注意点は生体の負担を考えて手早く行うことと、胸部と胴部の間の隙間や足の裏や付け根、及び口器周り等を入念に洗い落とすことです。 一度では完全に落とすことは難しいので何日かおきに2週間程度繰り返すことになります。(ダニのライフサイクルは大体2週間位いのようです。親ダニを落としても卵が残っていればそこから復活してくるのでこれくらいの期間が必要になる)。                       

・生体を清潔な別容器に移し、容器の底にティッシュを敷いて、このティッシュにお湯で溶いたゼリー(又は砂糖水)を含ませ、その中で管理する方法。できれば毎日、少なくても2~3日に1回の割合でこのティッシュを取り替えて容器を洗浄します。これを2週間くらい繰り返します。つまりダニをカブクワの体から引き離し、ティッシュに乗り移させる作戦です。前述の流水歯ブラシ法と併用すると効果抜群です(少し面倒臭いけれど・・)。

 

=幼虫の駆除方法=

私の場合はですが、幼虫にダニがとりついても多少ならあまり気にしません!                 

但しその数が異常に多い時と幼虫の気門に卵がビッシリと付いた時は呼吸に弊害が起きる可能性が出てきますので実施するようにしています。

・前述の流水歯ブラシ法がそのまま使えます。注意点は成虫よりデリケートですので、より丁寧に扱うことと特にカブであれクワであれ外産は幼虫でも凶暴ですので噛まれないように気をつけることです。デメリットとしては、これをやるとほぼ全て激しく脱糞して体重減を招くことでしょうが仕方ありません。      

・H師匠のやりかたです。幼虫をエタノールにさっとくぐらせるそうです。(私的には口にはつけたくないような・・・)親ダニには効くでしょうが卵もOKなんですかね師匠?(聞くの忘れた)手早くいくならこれでしょうかね?                     

 

 

◆第1回ルリクワガタ採集会 With日昆◆ H22.3.14

平成22年3月4日、H師匠にご教授頂いたザックリとした情報を頼りに、前から目を付けていた沢沿いのポイントに突入。

この辺りの積雪量はさほどではなくおよそ1.5mといったところ・・・日昆精鋭メンバー3名の無言の行進が続く・・・。 

堅雪になったところを見計らっての採集行であったが何日か前に降雪があったのか膝下までぬかる中、スノトレを履いた若人は進んでいくのである。

一見すると自由奔放に見える日昆メンバーだが、きれいに一列縦隊を組んでいるのは後から足跡を辿って行った方が『楽』だと気付いたのだな・・・。

中々ルリの産卵痕のついた材を見つけることができない。 

とりあえずクワの入っていそうな材はチェックするのだが、これも不発。

時間は刻々とすぎていく・・・。

 

このポイントを諦め、新たな場所を求めて移動開始。

会長の『書籍で見たルリポイントはどうも斜面の場所が多かったような気がする』との言葉を採用し、それらしい場所をチョイスして再突入したところ・・・。

オーッこれ何か怪しい! すかさずチェック!

 

クワの申し子、会長が最初の産卵痕のついた材を発見!!ボルテージが上がる!

続いて次々に産卵痕のついた材数本を見つけるもここでタイムアップ!

一番近い材だけをチェックしてみるが脱出孔があり、前年以前の古い材だったようで初ゲットとはいきませんでした。 残念!

しかし、この付近に来たら産卵痕のある材が急に増えたので、どうやらここが棲息場所であるのは間違いない様子。

 

日本の『森の妖精』ルリクワガタ採集は次回に持ち越しとなりました。

ところで、このチェックしたブナ材ですが、想像していた材とは違って極表面以外はカチカチの堅い材でした。 あんなに小さくて弱々しく見えるルリですが意外でした。

 

次回は必ずゲットしたいと思います。

 

 

◆脱走兵の捕まえ方◆

恥ずかしながら、飼育している虫達によく脱走されている内に脱走兵を捕まえるのが得意になってしまいました・・・。最近脱走対策も練られてきた結果逃げられる機会も少なくなってきているとは言え、飼育頭数も増えるに従い手抜きをするとやはり、やられます!              

が、余計な経験を積んでいるうちに今では脱走兵は発覚から2~3日中にほぼ捕獲できてますので、そんな自分的捕獲方法を紹介させていただきます。

 

=脱走発覚後に第一にすること=                            (1)当たり前ですがまず飼育部屋の戸を閉めて逃走経路を断つ! ことです。                 

(2)寒い地域で冬場に簡易温室等から脱走された場合ヤツラが動ける程度に部屋の温度を暖めておくことをお忘れなく。 ここをぬかると下記の捕獲作戦自体が成り立ちませんし、思いもよらない場所で動けなくなり、そのまま凍死や餓死します。

             

=潜伏場所と習性を推理する=                             (1)何度か脱走されると分かってくるのですが、ヤツラの次なる逃走待機場所というか潜伏先は意外にある特定の場所であることが多いです。落ち着くのか、居心地がいいのか分かりませんが、同じ場所に居ることが多いものです。私の飼育部屋ではそんな場所が2箇所あり、まずそこを捜します。このチェックだけで捕獲率30%超です。       

(2)逃げたヤツの自然界での習性を考えると勝負が早いです! 臆病な種なのか意外におおらかな性格なのか、昼行性なのか夜行性なのか ・・・となると例えばニジイロなどの色虫は日中に捜索した方が発見率が上がりやすいし、ギラファノコ♂は高い場所に棲息しているので部屋の高い場所も捜索範囲に入れるということになります。因みにあらゆる♀はまず高いところに潜伏しません。せいぜい膝から下、たいてい床付近に潜みます。                          (3)逃走経路 ほとんどの場合ヤツラは部屋の壁及び物に沿って暗い場所を移動します。部屋のド真ん中を横断したりする大胆というより間抜けな奴は私のところではカブト♂ぐらいしか居ません(笑)

 

=捕獲トラップを仕掛ける=

何度も逃げられる内に意外に楽しみになってきてしまうトラップの仕掛け方です。 部屋に居ながらにして採集の醍醐味を味わえる!しかも外産だァ~!って私だけですかね?

飼育に関する全ての労苦を楽しみに変える・・・のであります。

 

(1)あらゆる♀に抜群の効果!マットトラップ                                     用意するものは薄手のビニール袋と使用済み廃マットです。 マットはある程度加湿しておきますが 『手で握って団子になるくらい』でなくて構いません(笑)テキトーに湿り気があれば充分です。 カラカラだと効果が激減します。 これを逃走経路に仕掛けますが部屋の壁際、特に四つ角は見逃せません! 他は壁際の薄暗い場所や物が密集している場所などです。適当に3箇所くらい仕掛ければいいでしょう。 設置後ビニール袋に穴が開いていたら捕獲完了です!  ♀が中に入っています。 袋の口は縛っておいて構いません。奴らは恐るべき本能で探し当てます。 で・・・マットの銘柄なんですが何でも構いません。 実は某社のマットが私のところでは大変実績があるのですがこれ書くと供給止められたりしたら大変なので公開できません。悪しからず・・・。

 

(2)ライトトラップ                                                         ♂や飛翔性の高い種にお勧めです。夜に部屋の明かりを消して、天井付近に貧弱な光源で構わないので蛍光灯を灯します って~と、どこからともなく轟音とともに飛び出してきます。    

部屋の照明では明るすぎるのかあまり飛びません、むしろ照明の豆電球の方が効果があります。傘になっているタイプの照明なら、傘を黒い布等で覆って部屋の隅は薄暗く、真下を若干明るくするのがいいように思います。本物のライトトラップをイメージして下さい。大事なことはこの部屋で捕獲人がウロウロしないことです。気配を察するのか飛びません。 

以前この方法を試したとき、部屋の真ん中で寝転んで待機している内に眠ってしまったら、マレーオオヒラタ♂の爆音に起こされたという経験があります。更にもうひとつ大事なことは、部屋の温度を上げておくことも重要です。確か小島啓史大先生の記述に飛べる種類のクワは約30度前後になるとほぼ全てが飛ぶ・・・というような記事があったように記憶しています。(これは、温度が上がることで活性が上がるという他に、暑いので自分の適温の場所へ飛んで避難するということも含まれるのでしょう。 

ここで注意すべきは高温に弱い種に温度上げすぎると天国が見えてくるちゅーことです) 

ウチではヘラヘラ♂には逃げられたことないし、逃げても巨体だからすぐ見つかってしまうでしょうが、コレ書いてる内に無性にヘラヘラ♂をわざと飛ばしてその爆音を聞いてみたくなりましたって私だけですかね・・・?

 

(3)新聞紙トラップ                                                      以前飼っていたハムスターに脱走された時に編み出した手です。壁際や四隅にくしゃくしゃに丸めた新聞紙(千切っても可)を置いておくだけのトラップです。奴らが新聞紙に触れたカサカサという音を頼りに捕獲します。 ポイントは真夜中等の静かな時間帯に実行するのが聞き取りやすくて効果的です。

(4)エサトラップ                                                         文字通りエサでおびき寄せる手です。ただゼリーを置くだけ・・・では面白くありません。カブトは発酵臭の強い物を好み、クワは新鮮な樹液を好む・・とか。ノコギリのトラップは高いとこ、ヒラタは地面という基本を踏まえた上でエサの種類と設置場所を考えなければなりません!     

その経験が後日採集の際に生きてくる・・こともあるかもね。 

実際には上記(1)~(3)との併用が効果的と思います。

 

◆脱走防止法◆

ここは入門者向けの講座になりますが、一番脱走させてはいけないカブクワは何だと思いますか? 私的にはそれは3cm以下の小型種だと思っています。その理由は単純ながら見つけにくいからです。 

又、逃走後彼らは部屋の環境にもよりますが1週間~10日位は生きていますが、小型種は5日以内には身柄を確保したいところです。 では防止方法ですが、まず逆に奴らの逃走方法を解説すると その手法は主に次の二つです。                 

(1)蓋を開けて逃走する          

(2)穴を空けて逃走する            

これは主に前者は♂の、後者は♀の得意技です。    

飼育頭数が増えたり、経費削減の為身近な容器などで間に合わせようとすると意外によくやられます。飼育容器等は入れる虫の事を良く考えて、吟味することをお勧めいたします。     

さて防止法ですが                                                      (1)の防止法  

・蓋はきちんと閉める癖をつけることと、ガッチリ閉まる容器をチョイスすること。

・飼育容器に入れるマットや止まり木などの高さを考えること。蓋にお手手が届きさえすれば奴らはその恐るべき馬鹿力できっちり閉めたはずの飼育ケースの蓋をこじ開けます。               

(2)の防止法      

放置プレーがお好きな人がよくやられがちなのが、羽化したのに気付かず、又は気付いていてもまだ良かろうと放っておいたらいつの間にか活動を始めて蓋の空気穴から逃走されるケースでしょうね(俺だ)。次は厚さの薄い容器を使用してやられるケースかと・・・。ブロー容器程度の厚さだと長期に渡ってはやられることがあります。又、傷の付いている容器は使用しない方が無難です。♀の顎のは穴を穿つ為の構造をしている事をお忘れなく・・・。 ましてやプリンカップで成虫を管理するなどは、『逃げていいよ』って言ってるようなもんですぜ。 

 

では纏めると

・厚くて傷の無い容器を使う             

・蓋の高さを考える 

・やむを得ずプリカ等で一時的に管理する場合は衣装ケース等の蓋の閉まる大きなケースに入れて管理して、脱走後の拡散を防止する。

 

◆カブクワに挟まれた時の対処法◆

どのクワに挟まれたら最も悲惨な目に遭うか?

経験上私は断言する!それは太短い大顎を持ったアイツ・・・アルキデスであります(それもド短歯ね)。奴に挟まれたら本当にハンパね~ッす。

飼育入門者の方はカブトは大丈夫でしょッ普通に!って思ってるかもしれませんが、さにあらずヘラヘラでも頭角と胸角にあの馬鹿力で挟まれたら結構なもんですし、カルコソマもそうですが胸と胴の境い目 背中側は敵に襲撃されたら挟み殺すように出来ているので、カミソリみたいに鋭くなっています。大人の指はそう簡単にここには挟まれないでしょうが、子供の小さくて柔らかい指なら切れてしまうかも知れません。成虫になったらあれ程大人しいエレファスゾウも幼虫の時は凶暴で触るとすぐに噛み付いてきます!怒りの余り自分の尻を思いっきり噛んで死んでしまうこともあるくらいです。 用心に越したことはないのですが、それでももし挟まれたら・・・の対処法です。 一番ヤバイのは羽化したての時と、死ぬ直前の個体です。活性期の個体は挟まれてもじっと我慢しているだけで力を弱めたり、離したりしてくれることもありますが、この時の奴らは鈍いので噛み付きっ放しのことが多いのでご用心です。謝っても離してくれません。ではどうするか?

(1)クワの顔にエタノールを噴霧する。 

まずこの方法が経験上一番効果的です。今までこれで離さなかったのは過去一度きりです。(当ホームページリンク集でお馴染み日昆会メンバー№6こと0カちゃんが店に遊びに来てからかっていたタランドゥスツヤ♂にやられた時くらいです。よほど彼を怒らせたのでしょう。普通に皮膚が破けて血が出てましたな。それを見ていた会長は何故か大喜びしてましたが・・・)

(2)近くにエタノールが無い時・・・  水に漬ける・・・です。この水は冷たいほうが効果があるような気がする。流水でも離すときは離しますが逆に更に強く噛み付く場合もありますのでご注意を・・・。(自分で自分にとどめをささないように・・・)。 

お湯はまいね!(*津軽弁 駄目です・・の意味)

 

◆カブクワの怪我の治療法◆

H師匠から習った裏技です      

 

・採集時蜘蛛の巣に引っかかり、毒を打ち込まれて麻痺したクワを蘇らせる法

ぬるま湯に漬けるとあら不思議!元気になるそうな・・・                                              

 

・不慮の事故でフ節等が欠損し、体液が流れ出てしまった時(人の場合の止血法)の治療法           

傷口に溶かした蝋を塗る・・・だそうですが、瞬間接着剤でもいいかも知れません。もともとあれは人間の手術用に開発されたものらしいので。 特に幼虫の足をやっちまった時はコレ使えるかも・・・。(*まだ試したことはありません)           

余談ですが、私自身菌糸ビンの餌交換時に誤って幼虫の足を一本飛ばしてしまったことがあったのですが、この時は特別治療を施すでもなく『すまん、強く生きよ!』と声を掛けただけで新しいビンにエイヤッ!と、ぶち込んでしまったのですが、その後羽化したら何と完品でした!   

因みにこの場合欠損した部分の足が短くなることが多いようです。 更に言及すると、オオクワ♀に産卵前の栄養補給の古典的手法として、カブトムシ蛹を与えるというのがありますが、ドテッパラに穴を空けられて体液をチューチュー吸われたにも関わらず、カブトはちゃんと羽化すると言う事です。驚くべき生命力ですな・・・。   

・幼虫飼育をしていると時々黒いかさぶたのようなものができる時がありますね。放って置くとかさぶたが大きくなり、こうなるとその後ほぼ死にますな。この原因は『累代障害説』と『古いマットを使用したことによる一種の皮膚病説』のふたつの説を聞いたことがありますが、後者の場合は発見が早ければ新しいマットに交換することで何とか無事に羽化までたどり着くことができるケースもあるようです。新しいマットを使用したにも関わらずこの病状を呈した場合には何らかのウイルスや雑虫が媒介している可能性もありますので、交換するマットは違うロットの物を使用するか、消毒(別項参照)後に使用した方がよいと思います。

 

◆採集の知恵・・・カブト虫のバナナトラップの効率を上げる法 カブト虫はスケベ?の巻◆

ごく一般的方法でカブト虫を採集捕獲するには、よくバナナトラップを仕掛けますね。バナナに焼酎をまぶして容器に入れ、1日天日に当てて発酵させて使用ってやつですが、問題はそのバナトラを何に入れて仕掛けるか?チューことですの。 一番用いられているのは女性のお古パンストがあらゆる意味便利で適していると思われるのですが、アレ肌色のと黒いのがありますな~  

で、両方試した人にどちらが沢山捕れるか?と聞くと異口同音に皆『黒い方!』と答えますな。カブトは色を識別していて黒を好むのか?はたまた黒い方が程よく発酵臭を醸し出すのか?   

よく分かりませんが、黒い方が成績が良いのは確かみたい・・・。そこで店に来たオヤジのお客さんにこの話をする時 じゃあ『黒い網タイツ』にすればもっと捕れるんじゃないか?と言うと皆さんウヒャヒャと大喜びして帰って行きます(カブトがスケベなんじゃなくて我々がスケベなだけでした・・チャンチャン!)。 

さて、私自身は最近このパンストを使いません。

その理由は妻のない私は新品のパンストを購入して用いるしかないのですが、以前百均に買いに行ったところ、若い女性店員に怪訝そうな顔をされたからです。(ただでさえ恥ずかしい思いを堪えて買いにいってるのに・・・)              

プロなら黙って勘定せんかいっ! って言う事もできず、すごすごと帰ってきましたね。             

もうひとつの理由はカブト虫だったら、自宅近くの某山のご神木でひと蹴り入れれば十数匹はボタボタと落ちてくるからです。(この場合の蹴りは前蹴り若しくは横蹴りです、回し蹴り及び下段蹴りは十数年前にできなくなりました、やれば足を引きずって帰ることになるでしょう)             ですが、今年は採集に力を注ぐ予定になっていまして、実は欲しいんですね。そこでお願いなんですが、これを見た女性の皆さん! 不要になったパンストありましたら是非下さい! 黒じゃないと嫌っ!とか言いません、決して『嗅いだり被ったり』しませんので・・・。

 

◆使用済み廃マットの再利用法◆

これは皆さんご存知かもしれませんが、知らない方もいらっしゃると思いますのでお浚いの意味で・・・。我が家では使用済みマット等は下記のような循環サイクルを辿っています。

(1)クワに使用のマット及び菌糸カス→(2)カブト虫の餌→(3)畑の培養土                  

(1)の注意点

マット及び菌糸カスは雑虫(ダニー、線虫、コバエ、トビムシ)がついていない物はそのまま使用。 ついていた物は殺虫してから使用します。殺虫法は           

・天気の良い日に黒いゴミ袋に入れて口を縛り、日当たりの良い場所に1~2日放置して袋の中を高温にすることで殺虫する方法。(すぐに使いたい場合に向いている)

・天気の良い日にビニールシート等の上に薄く広げて完全乾燥させることにより殺虫する方法(長期保存したい場合に向いている。但し、風のない日を選ぶことと、乾くまで夜露に濡れたりしないように管理するのが少し面倒。日当たりの良いコンクリートや屋根の上が温度が上がって乾きやすいです。)

・適当な大きさの袋に入れて冷凍庫の中で凍らせる→解凍→再度凍らせる→解凍して使用(冬季等の太陽光を利用できない場合ですぐに使用したい時に向いている)

(2)の注意点

大型個体を狙う場合は新品マットを使用して下さい。但しこの場合でも菌糸カスは栄養豊富なので有効です。マットに対する菌糸カスの割合が多すぎると腐敗を招いたり、幼虫の拒食を招く場合が考えられますのでマットに対して30%以下の混合比をお勧め致します。(1)の時点でマットと菌糸カスは別々に乾燥させておくと後で微調整できます。菌糸カスは白い部分を含めて全て利用できますが、乾燥前に粉々に砕いておいて下さい。

(3)の注意点

作物の種類により畑にすき込む前か後にpHを調整して下さい。カブト糞の粒粒のせいでしょうか根も呼吸し易いようで、作物が元気に育ちます。家庭菜園程度の規模なら、市販の培養土が殆ど不要なほどで、化成肥料の量も減らせます。

最も注意すべき点は、室内の観葉植物やプランター等には使用しない方が良いことです。どこからともなく侵入してきたキノコバエや朽木バエがそこで繁殖する可能性があります。

ついでなので、このリサイクル培養土にぼかし肥を加えることで更に高栄養化する方法を紹介致します。 ぼかし肥の作り方からです。 原料は米糠を使用致します。 青森県の場合にはどこに行ってもあちこちに『コイン精米所』が有りまして,ありがたいことにそこに溜まった米糠はたいていの場合無料で『どうぞお持ち帰り下さい』なのです。♪コレを使います。

せっせと集めた米糠を衣装ケース等に入れて、ここに発酵を促す原料として『納豆』1パックを約200cc程度のぬるま湯でかき混ぜた物を加えます。 更にぬるま湯で適度に加湿した米糠を良くかき混ぜたら、ここからは『発酵マット』の作り方と全く同じです。粗熱が取れて発酵が終わったら使用可能です。但しリサイクルマットの方に再発酵する可能性がありますので、ぼかし肥と混合後に再発熱していないか4~5日様子を見た方がよいと思います。

 

最後にあまりこんなケースはないかとは思いますが、注意点をもうひとつ。かぶと虫の棲息場所に近い所で、このリサイクルマットを大量に使用又は積み上げておくと、かぶと♀を呼び寄せて産卵させてしまう可能性があるということです。 自宅近くの山に土地を無料で貸してくれた方が居り、私はそこで畑を作っているのですが肥料代わりに落ち葉堆肥を作ろうと思ってビニール袋に落ち葉を集めて入れておいたら、いつの間にか袋の中がかぶと幼虫で溢れていたことがありました。(前述の♀捕獲トラップの第一ヒントは実はこれだった)

又有るときは、畑でメロンを作っていたら、収穫間際になってメロンに原因不明の大穴が空いていく・・・。 確認の為夜明け前に畑に行ってみたら、かぶと♀が俺の大事なメロンに大穴を空けて『ウガッー!』って勢いで汁をすっていたなんてこともありました。

逆にこれを逆手にとると、これを棲息場所の近くに積んでおくだけで天然♀が勝手に産卵していくし、生息場所の近くでなくてもこの山に捕まえてきたかぶと♀を適数つっこんでおくだけで『キャーッ!』ってくらい産みますがね。          

(4)使用済みマット及び幼虫の糞は幼虫飼育並びに採卵時に強い味方になります。これは中に含まれているバクテリアの利用や、母♀が『違う♀が前に産卵した安全な場所』と認識させて産卵を促すという説に従ったものです。特にマルバネクワガタやツヤクワガタを飼育しようという場合には半年から1年程寝かせたマットを混合して使う場合もありますので飼育してみたいと思った時から準備が必要です。  

最後に採卵から幼虫飼育まで難易度が高いと言われているブルークツヤクワガタの採卵時の成功と失敗の事例を参考までに揚げてこの項を終わります。

・使用個体 スマトラ島 ベンクール産 WDペア    

・産卵セット管理温度 約22度~25度 セット内に♂♀同居 (生体の活性状態から察して管理温度は25度からプラス1~2度程度が好ましいと思われた)。  

・セット期間  約1ヶ月半

・使用マット混合比  アマミマルバネ幼虫飼育使用済みマット(マルバネマットに赤枯れマットを3割程混合冷凍保存していたもの)3、新品赤枯れマット3、ブルマイスター幼虫使用済みマット1(バクテリア効果を期待して混合)、月夜野きのこ園製新品黒土マット3・・・というもの。

・使用ケース コバシャ中ケース

幼虫、卵合計約20

 

《総括》                                                            結果ですが、幼虫の姿は見えていなかったがコバエが沸いてしまったので、止む無く割り出しを敢行したところ上記の結果だった。 出てきた幼虫は全て初令で、半数以上が卵だった。これは最適温度を若干下回っていたためと思われる。 

産卵マットと同じ物を作り、幼虫と卵を投入して管理したがその後卵は1個も孵化せず、幼虫もばたばたと死亡。 (ウーンやはり弱い!)

この幼虫は鉄則通り2令になって体力が付いてからから割り出さないと難しいと思いました・・・。 現在残った幼虫4匹はお古マット4、月夜野きのこ園製完熟マット3、同黒土マット3で注ぎ足し補充しながら過保護飼育中。(2令に加齢後は今のところ死亡個体なし)  

纏めますと、産卵セットのマットは細心の注意を払って作成、管理温度は25~27度、割り出しはセット後最低2ヶ月経過後(セットは底3割固詰め、残りはふんわり詰めだったのだが、幼虫も卵もほぼ全て中層にいたので割り出してみて卵や初令幼虫が出てきたら埋め戻すのも有りか?)加水状況は『強く握って水が染み出すかどうか』位いの若干多め(腐敗防止の為底の固詰め部分のみ水分量減)、産卵木は当然無しのマットのみでした。 後は♀の状態次第かな?    

以上ですが参考になりましたでしょうか・・・?